ジャニーズクイズ部が好きだという話

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1.クイズ番組のこと

そもそも私はQuizKnock*1という人たちのコンテンツが好きで、ジャニーズクイズ部に出会う少し前からテレビのクイズ番組をそれなりに見ていた。

当たり前なんだけど、クイズ番組と一口に言ってもその形式は様々で(私は関心を持って見始めるまで考えたこともなかった)、例えば先日クイズ部が出演した現在の「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」は大まかに言うと「クイズが強い人」のプレイングを、われわれ視聴者が正解したりしなかったりしながら眺めるという構図で出来ている、と思う。螺旋階段が動いていた頃(2015~2019年)の番組も同様だ。それ以前はちょっと異なるかもしれないけど。

2020年、兎にも角にもテレビにはクイズ番組が溢れている。これらは現在ざっくり二つに分けられる。一方は「視聴者も一緒に解ける」番組。他方は「スーパープレイを眺める」番組(エンターテイメント型/スポーツ型と呼ばれているんだっけ)。

先に記したように「Qさま!!」は後者、「今夜はナゾトレ」は前者、「ネプリーグ」も前者、「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」は後者(じゃないときもあるけど)、「東大王」は後者、「そんなコト考えた事なかったクイズ! トリニクって何の肉!?」は前者。“知力の甲子園”時代の「全国高等学校クイズ選手権」、そしてそれを継承した「頭脳王」も後者、だと思う。いち視聴者の個人的な意見なので学術的に正しい見解ではない。ただ、私はそういうカテゴライズをして見ているよ、という話である。

どうしてこれがジャニーズクイズ部の話に繋がるのかというと、後者の番組にジャニーズ事務所のアイドルが出るのって珍しいな、と感じていたからである。

「おバカタレント」というジャンルがある。最近あんまり言わない気もするけど、「天然」と呼ばれる人たちなど、である。現在彼らはクイズ番組に於いて「問題が解けない」役回りの人たちであり、前者の番組でわれわれ視聴者に「あの人より解けないのは嫌」という気持ちを起こさせる。或いは後者の番組で「クイズが強い人」を引き立てている。これは悪意を持って書くわけではなくて、私は、ジャニーズの人ってどちらかというとこっちなのでは、と思っていた。ファンの人はまた違う想いがあるかもしれないが、外から見ている私は、バラエティ番組でそういう役を務める人が多いと感じていた。

私が彼らのことを何も知らずにぼんやりテレビを見ていたとき、「SnowMan阿部亮平くん」だけはフルネームを空で言えた。毎日のようにクイズ番組で目にしていたからである。それがどうにも異質に見えて、「院卒アイドル」という肩書も覚えたし、気象予報士の資格を持っていることも覚えた。阿部くんは、「クイズが強い人」としてクイズ番組に出ていた。他の「クイズが強い人」たちの中で平気で正解を出して、これはこういうことですと解説もしていた。それってどう考えても、今までジャニーズのアイドルがやっていた仕事ではないのだ。少なくとも私の記憶にはなかった。

SnowManのことを知るにつれ、私は阿部くんが「クイズ番組にジャニーズの席をつくる」という目的を持ってクイズをしていた、ということをなんとなく理解していった。実際、阿部くん以外のジャニーズJr.(例えば川島如恵留くんだ)が単独でクイズ番組に出演する光景はそんなに珍しいものではなくなったし、こうしてジャニーズクイズ部が揃ってQさまに呼ばれる、しかも勝っちゃう、というある種の記録も打ち立てた(消しマスで“crime”を出せなかった如恵留くんが最終問題で単独正解するドラマチックな展開がめちゃくちゃ良かった)。これらは間違いなく阿部くんの功績であり、クイズ部という名前が付けられたジャニーズの「インテリアイドル」たちの新たな活動の場になるのだろう。

前置きが長くなった。私が言いたいのは、彼らがクイズ番組で活躍を見せ始めた理由は「昨今の番組のニーズと阿部くんの活動の方向性が噛み合った」からなのではないか、ということである。

どこまでがCEO*2の受け売りかわかんなくなりそうなんだけど、ここ数年のクイズ番組では「マジックからロジックに移行している」らしい。ここで言うマジックとは、先述の「スーパープレイ(=視聴者には真似できないクイズ)」のことで、ロジックとはその種明かしのことである。種明かしとは。「この人はどうしてこの問題に正解できたのか」という理由の説明のこと。 どうしてって聞かれても、知ってたから知ってた、なんだけど。われわれ視聴者は「なぜそんなことを知っているのか」の説明を求める。それを解決する手っ取り早い手段として、現在は「学歴」が利用されているのだ。詳しいことは詳しい人に聞いてください。*3

「高学歴」な人はクイズが強いのだろうか。必ずしもそうではない。少なくとも、テレビでバンバン正解を出す人が、正解を出す理由は、彼らが「高学歴だから」ではない。クイズを勉強したからだ。そんなことはちょっと考えれば誰でもわかると思うのだけど、視聴者は「この人たちは高学歴だから正解できたんです」と言われるとすんなり納得する。あまり良い例えではないけど、スポーツの強さが国籍によって説明されたり、人間の性格が性別によって説明されたりすることに似ている。どう考えても正しくはない。でも私たちは、少なくともその瞬間そのロジックに納得して番組を見ている。ちょっと悲しくなってくる。テレビってそんなもんだし、私もそんなもんだ。

とにかく今のクイズ番組では、「高学歴だから正解できました」というわかりやすい理由づけが求められている。それが、阿部くんがこれまで磨いてきた学歴、乃至資格という武器とぴったり合致した。のではないかなあ。そしてその後に続く彼らの席が確立されつつある。「学歴」は現在、知識で勝負するフィールドに立つためのチケットとして存在している。阿部くんのこともクイズ史のことも特に詳しいわけではないので、これは全て所感、にとどまってしまうのだけど。

 

2.ジャニーズクイズ部に憧れるということ

「学歴」と「クイズの強さ」には本来関係がないと上に述べた。(ていうか“学歴”はそもそも万物と無関係であるべきで、どこで学んだかではなく何をどのように学んだのか、が重視される時代が訪れるのが勿論望ましいんだけど)東大に入ったからクイズが強いわけじゃないんだよね、と先日の「ボクらの時代」東大生鼎談でも話題になっていた。クイズ番組に呼ばれたときにそれを期待されてちょっと困る、みたいな話が。

ただそれは、「学歴」を獲得したあとに「クイズの強さ」を要求されることになった、主に芸能人と呼ばれる人たちの話である。われわれ一般人まで視野を広げると、一概に「学歴とクイズの実力は関係ありません」とは言い切れない。なぜか。

競技クイズは未だマイナーなエンタメ(と表現しても良いのかわからないけど)である。私は、自分で早押しボタンを買って問題を集めて仲間内で乃至大会に参加してクイズをやる人が存在することも知らなかった。ていうかクイズが「競技」だなんて考えたこともなかった。学校にもクイズ研究会はなかった。

そう、学校にクイズ研究会がないのだ。

一応、こういうデータ*4もあったりする。まず数が少ない。そして進学校の名前しかない。上から下まで聞いたことがある。あと参考にするならこれ*5とか。

まあ外部から認知されていない同好会はごまんとあるのだろうし、それはクイズに限った話ではないけど。でも野球は年別の部員数がオフィシャルに出ていたりするじゃん(あれ何に使うんだろうね)……。

私のような特に「良い学校」に通っているわけでもない学生が、彼らクイズ部のクイズを見て「やってみたいな」と思っても、まず学校にその場所がない。競技として取り組むにあたって、どうやってどんな大会に出て、どういう練習をするのかを知ることができない。野球はあって、サッカーはあって、吹奏楽はあったのに。

だから中学生が学校でクイズをやりたいと思ったらハイレベルな高校を目指すしかないし、高校生がそう思ったらハイレベルな大学に合格するしかない。その結果、外から見える「クイズができる学生」になるには「高学歴」であることが必要条件であるように思えるのではないだろうか。

高校生クイズの上位校は当然のようにドがつく進学校ばかりで、彼らが難しい問題に正解できる理由もまた、例えば「浦和高校に通っているから」と説明される。浦和高校の生徒なら全員クイズができるわけではなくて、彼らは熱心にクイズの勉強をしているから強いだけなのに。ディベートなんかもそうだ。ディベート甲子園の決勝を戦う学校は、まず全国でも有数の「進学校」だ。因みに私の通う学校にはディベート部がなかった。競技クイズがもう少し縦横に広く身近なものになったら、彼らのやっていることをより深く理解できるのではないかなあ、と思う。高校のクイズ研は現在増加し続けているらしい。

 

 

彼ら(ジャニーズクイズ部のこと)は、学力面で優秀であることを武器にして、アイドルをやっている人たちである。「高学歴」という言葉は殆どの場合、自分の望んだ、乃至それに近い進路を実現できた人を指す。ここからは本当に私の話で、有益なことはひとつも出てこないのだけど、私の人生に於いて、その「勉強ができる人」が馬鹿にされていたのって、いつまでなんだろう、と彼らを見ているとよく考える。

基本的に、そういう価値観の中で生きていた。中学までは大してやらなくても自分がある程度「できる人」側にいて、飛びぬけて優秀な人には「自分たちとは違うから」と線を引いて遠くから眺めていた。その優秀な人たちは、勉強が得意ではない人たちから薄っすら馬鹿にされていた。勉強以外に楽しいことないの?という目で見られていた。テストで毎回1位を取るより、部活に精を出す人とか、クラスの中心で賑やかにしている人とかの方が偉かった。高校に入っても、暫くは「できる人」がなんとなく煙たがられていたような気もする。

高2の夏くらい、みんなが嫌でも進路について悩まなくてはならなくなって、そのとき初めて、中学の頃から休み時間もずっと勉強していたあの子たちは凄かったんだ、と気がづいた。ごく当たり前のことなんだけど、今望んだ環境で学問に取り組む「勉強ができる人」は、ただずっと直向きに勉強をやってきた人なのだ。そして、私もあの時、或いはあの時、もっと真面目にやっていたら、「そう」だったかもしれない、のだ。

ジャニーズクイズ部に憧れている。それは私が努力次第でなり得た、私の人生の延長線上にある、かっこいい人の姿だから。私は音楽や芝居で成功する方法は知らないけど、自分が望んだ環境で学ぶ(大人はそれを進路実現と呼ぶ)ために何をすればいいのかは知っている。今やっている勉強をきちんとやり切って、そして入試を受ける。特殊ルールはない。そんなの小学1年生からずっとそうだった。私の生きているのと同じところで、途中でやめないで、ずっと同じように真っ直ぐ努力した人が彼らなのだ。だから彼らに、今世界で一番焦がれている。彼らのように(最終的に得たものが望んだ結果でないにせよ)自分のやってきたことに胸を張れる人になりたいと思う。

 

如恵留くんのQさま楽しみだね~!

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*1:https://quizknock.com/「身の回りのモノ・コトをクイズで理解する」をコンセプトとした東京大学発の知的メディア(公式サイトより)

*2:伊沢拓司くんのこと

*3:はじめてのクイズ史https://youtu.be/hVquzHaV1Mw

*4:https://w.atwiki.jp/qqqnoq/pages/100.html

*5:https://www.quizaql.com/kameiname/